Mogul(ムガル)

2016/06/28 投稿

競り合うか降りるか、買うか売るか、悩みは尽きぬ

場に公開される株券の購入権もしくは手持ちの株券の売却権をプレイヤー間で競り合い、手持ちの株券の配当や売却した時の勝利点により、最多勝利点を目指すゲームです。


基本情報

日本語版パッケージ
日本語版パッケージ
  • 日本語タイトル :ムガル
  • 英語タイトル  :Mogul
  • ドイツ語タイトル:Mogul
  • タイプ     :カードゲーム
  • プレイ人数   :3-6人
  • プレイ時間   :45分
  • 対象年齢    :13歳以上
  • デザイナー   :Michael Schacht
  • 出版社     :
    Spiele aus Timbuktu(2002年,ドイツ語版,絶版)
    Rio Grande Games(2012年,英語版,絶版)
    ゲームフィールド(2013年,日本語版)
  • 主な受賞    :
    2003年 アラカルト・カードゲーム賞
  • 言語依存度   :
    カードに英語の会社名テキストがあるが、書き換える必要はなし

コンポーネント

以下はゲームフィールドから発売されている日本語第1版での情報です。

サイズ・重量

  • 外寸/重量:17.0cm x 12.7cm x 3.7cm/356g
  • ボード寸法:16.2cm x 23.5cm(スコアボード)
  • カード寸法:57.0mm x 87.0mm/32枚/エンボスあり

内容物

  • スコアボード  x  1枚
  • カード  x  32枚
    • 急落カード x 1枚
    • 株券カード x 31枚
      • Great Northern Railway x 8枚
      • Union Pacific x 7枚
      • Santa Fe x 6枚
      • Frisco x 5枚
      • Southern Pacific x 5枚
  • 金属製コイン x 45枚
  • 木製スコアマーカー x 12個
    • 赤色、青色、黄色、白色、黒色、灰色 各色2個ずつ

ゲーム概要

株券カード(以降、株券と略す)を競りによって手に入れたり、売却することで勝利点を獲得するタイプのカードゲームです。

株券カード
株券カード

株券には中の色と枠の色があり、株券自体の色は中の色で示され、売却できる株券は枠の色で示されます。初期の株券カードはゲーム開始時にプレイヤーが所持する株券カードで、このカードを各プレイヤーに1枚ずつ配ります。

残りの初期株券カードと他の株券カードを裏向きでシャッフルして、一番下のカードに急落カードを混ぜて元の位置に戻します。このカードの山を山札とします。

コインを各プレイヤーに配り、残りのコインは1カ所にまとめて置いて銀行とします。

初回は適当な方法でスタートプレイヤーを決定し、そのプレイヤーからプレイを開始します。2回目以降は最後に株券を入手したプレイヤーからプレイを開始します。

まず山札から株券を1枚公開します。

株券の色と同色の株券を持っているプレイヤーは配当としてその色の株券の枚数分の勝利点を受け取ります。

次に公開された株券の競りが行われます。競りは手持ちのコインをスタートプレイヤーから時計回りの順番に1枚ずつ賭ける、または今賭けられている全てのコインを入手して競りから降りるの2択方式です。

競りに勝った人(1位のプレイヤー)が競り対象の株券を入手するか、売却対象の手持ちの株券を売却して勝利点を得るかを選択します。そして競りで最後に降りたプレイヤーが2位のプレイヤーとなり、1位のプレイヤーが選択しなかった方を選択できます。1位のプレイヤーが株券を入手した場合は2位のプレイヤーは売却対象の株券を売却できます。反対に1位のプレイヤーが株券を売却した場合は2位のプレイヤーは競り対象の株券を入手できます。
株券を売却する時は、所有している任意の枚数の株券(ただし、売却できる株券の色と同色の株券のみ)を同時に売却できます。株券を売却することで、現在すべてのプレイヤーが所有している同色の株券の枚数×売却した株券の枚数分の点数を得ます。

コインの獲得は競りを途中で降りてコインを入手するか、銀行から勝利点と引き換えに借金するかの2通りしかありません。

これを繰り返し、山札から急落カード(ゲームが終わる合図となるカード)が公開された時点でゲームは終わります。獲得した勝利点と最後に残っているコインによる勝利点を合計して、一番勝利点が多いプレイヤーがゲームの勝利者です。

評価

以下はゲームフィールドから発売されている日本語第1版での評価です。

項目別評価

  • ゲームの分類        :戦略・戦術系/株券売買/競り・セットコレクション
    ゲームは戦略系と戦術系の中間、株券売買をテーマにした競りと集めた株券によるセットコレクション(役作り)のゲームです。
  • ルールの複雑さと量     :5/6点
    続ける限り1コインを払い続け、競り落とした人および直前に下りた人が購入権・売却権を得る独特な競りのルール、1枚の株券で配当を受け取れる株券、購入できる株券、売却できる株券の3種類を表しているカードレイアウトによりルールとコンポーネントを単純化しているため、簡単ですぐに覚えられる単純さとルール量です。
    ルール上に間違えやすい部分や例外もないため、覚えやすいのも評価が高い理由です。
  • ルールの目新しさと特長   :5/8点
    競りおよびセットコレクションがメインであり、組み合わせには特に目新しい点はありません。ただし競りは単純に株券を競るわけではなく、株券の購入と売却のどちらかを選択できる権利を競る、そして2位の人はもう片方を得るという点は目新しい点であると言えます。
  • ルールの欠陥        :7/10点
    特にルール上に不備、あいまいな点、ルール間の矛盾は見当たりません。しかし空売りには欠陥があると思います。
    株券売却による大量得点を阻止するためには競りで1位となり、空売りするしかありません。競り合いの内容によりますが、競りに投じたコインと株券の購入権が失われるため、不利益しかありません。そして売却を阻止するには、だれかが不利益をこうむってでも空売りしなければなりません(もちろん、売却できる株券があれば空売りする必要はありません)。この空売りが、ルールによって強制的にやらされている(やらざるを得ない)感じを受けるかもしれません。そのため、空売りは有効に機能しているとは言いがたいと思います(この点は、新版のムガルである程度解消されています)。
    しかしながら株券売却による大量得点の機会は頻度も少ないため、致命的な欠陥とは言えません。
  • ルールの調整        :8/10点
    ゲーム内に特別な効果のカードやアクションはないため、バランスの調整は不必要であると思います。
    プレイ人数による時間調整はありませんので、プレイ時間の短縮はできません。プレイ時間を短縮するには山札の株券を減らすしかありませんが、山札の株券を減らしすぎると売却時に得られる点数のバランスが崩れる可能性があります。したがって時間調整は不可能であり、これが唯一の欠点と言えます。
  • ジレンマの有無と強弱    :2/8点
    1位を目指して競りを続けるのか、それとも2位で選ばれなかった選択肢でよいとするのか、株券の購入を選ぶのかそれとも株券の売却を選ぶのかと二者から選択する場面がありますが、ジレンマとして感じるところはありません。なぜならば、これらの選択肢は自分が考えた戦略によってどちらを選ぶかがほぼ決まるからです。
    コイン所持数は隠し情報であり、だれがコインを何枚持っているかはわかりません。そのため、どうしても競りに勝ちたいという時を除いて、競りを続けるか、ここで下りてコインを回収するかを常に考えることになるでしょう。ここには今競りに投じられているコインを回収するか、それとも回収できるコインがさらに増えることを期待してもう1回競りを続けるかという悩みがありますが、これはかけであり、ジレンマではありません。
    株券を売却させると大量に勝利点を得てしまうプレイヤーと競り合う場面では、自分が例え売れる株券がなくても売却(空売り)を選ばざるを得ないこともあり、その場合は2位の人に競りに投じたコインと株券の購入権を渡さざるを得ません。このような場面でどちらを選ぶかは、現在の進行状況や得点状況により判断する(ここで売却させても逆転できる、得点が上回っているのであれば競り合う必要もありません)ことになるため、これもジレンマとは言えません(当然、そのような競り合いには参加したくないため、わざと競りから降りて他のプレイヤーに任せるという方法もあるでしょう)。
    ジレンマとなるのは、売却を阻止する代わりに以降の競りで必要なコインを失う(つまり今後は欲しい株券が公開されても競り合えない、最多得点を目指せない可能性がある)、または売却を阻止しない代わりにコインを失わずに済むが、そのプレイヤーの勝利が確定してしまうという場面だけでしょう。自らが勝利することをあきらめる代わりに他プレイヤーが最多得点になることを阻止するか、自分が最多得点になることはあきらめて2番ねらいとするかということです。どちらにしても、あまり良いジレンマとは言えません。また、そのような場面もかなり少ないでしょう。
  • インタラクションの有無と強弱:7/8点
    プレイヤー間で影響する部分は、競りおよび株券売却時に得られる点数計算です。
    競りでは、株券の購入・売却の阻止をするには競り合うしかありません。複数のプレイヤーが同種の株券をねらっている場合は競合するためインタラクションは強いですが、プレイヤーが必要としない株券の場合は積極的に阻止するには至らず、インタラクションは弱くなります。
    株券売却時に得られる点数は、現在すべてのプレイヤーが所有している同色株券の枚数によって変わります。つまりそれぞれのプレイヤーが株券を売却すればするほど、売却時の点数は少なくなります(同色であれば)。
  • リプレイ性の有無      :4/6点
    プレイ時間は公称では45分となっていますが、競りの内容次第でプレイ時間は増減します。しかし1日に何回もプレイできる手軽さは、リプレイ性を高めていると思います。
    公開される株券はプレイする都度にランダムですが、株券の種類ごとの枚数は大きく変化しませんので、プレイする都度に新しい体験ができるわけではありません。
  • 戦略性の有無        :6/10点
    どの色の株券を集めていつ売却するかという点が戦略として考えるべき所ですが、その他にも少ない枚数の株券を集めるのか、多い枚数の株券を集めるのか、株券の種類を絞って集めるのか、複数の株券を幅広く集めるのかとプレイヤーが考えるべき点は多数あります。またすべての種類の株券を少しずつ競り落とし、ある程度数が出そろった時に自分だけ売り抜けるという方法も考えられます(売却時にそれぞれのプレイヤーが所有する株券の総数×売却する株券の枚数が点数となるため)。
    さらに有限のリソースであるコインをどのようにして回収するのかも考えるべき点です。まったく競り落とす気がなくても、他のプレイヤーからコインを回収するためにあえて競りを続けるという方法も考えられます。
    戦略性に乏しいように見えますが、このような簡単なルールでもさまざまな方法を選ぶことが可能であり、戦略性はある程度あると思います。
  • 運の比重          :7/9点
    運が影響する要素は山札から引かれるカードの種類がありますが、この引かれたカードでどの株券が配当を受けられるか、どの株券が購入できるのか、どの株券を売却できるかが決まるため、運による影響はある程度あります。また自分が集めている株券が必ず場に公開されるわけではない(最後の4枚と急落カードを混ぜるため)ため、ここにも運の影響があります。
    運が影響する要素を回避するには戦略も重要ですが、確実に株券を売却して得点するためには株券の種類ごとの残り枚数を覚えておく必要があるでしょう。欲張ると集めた株券を売却できずに無駄となってしまうこともあるため、山札の残り枚数を確認しながら早めに株券を売却するように心がけることで運の影響をほぼ回避できると思います。
    まとめると戦略や山札の残り枚数を記憶することによってある程度運が影響する要素を回避できるため、比重はそこまで大きくはないと思います。
  • ゲームの勝負性       :3/6点
    ゲームの最後まで参加しているすべてのプレイヤーが勝敗にかかわれるかどうかは、ゲームの内容次第です。
    だれかが株券を大量売却することで点数に大差が生じた場合は、ゲーム途中で勝敗が決してしまう可能性もあります。そのため、だれかが同じ色の株券を集め始めた時は、早めに大量売却されないように、または大量売却されても構わないように対策を行わなければなりません。
    つまりゲームの最後まで勝敗にかかわるためには、ゲームに積極的に参加しなければならないということです。参加しているプレイヤーが消極的であれば、ゲームの最後まで勝敗にかかわることは非常に難しいでしょう。
  • プレイアビリティ      :7/8点
    プレイ中は特にプレイのしやすさが損なわれるような事はほぼありません。唯一、スコアボードのマス目が無地になっていて数字が書かれていませんので、得点マーカーを進める時に分かりにくいのが欠点です。できれば、5点おきに数字を描いて欲しかったと思います。また同じような競りゲームに共通しますが、人数が多く競りが長引くほど、だれが競りから降りていて、だれが残っているのかが分からなくなるという欠点もあります。
    カードのテキストは会社名や枚数のみであり、その他に細かいテキストやアイコン類はありません。
    色については、青色の背景色に黒色の文字が書かれているために読みにくいカードがありますが、株券の種類は色やロゴで判断できますので問題にはなりません。色覚障がいの方も、株券の種類ごとにロゴが異なるため判断は可能です。カードの他にボードやマーカーがありますが近似色は使用していないため、こちらも問題ありません。
  • セットアップの簡易性    :2/3点
    セットアップは山札の準備とそれぞれのプレイヤーにコイン・初期株券を配るだけですので、手間はかかりません。カードも初期株券とそれらを除く株券、急落カードの3種類であらかじめわけておけば、さらにセットアップは早くなるでしょう。
  • コンポーネントの質・数   :7/8点
    カードは十分な厚みがあり、装飾はありませんがコインの材質は金属、マーカーも材質は木と文句のない材質で、耐久性に問題はないと思います。
    スコアボードも添付されていて必要なものはほぼそろっています。できれば別売りになっているスクリーンも添付されていれば良いのですが、他の物で代用できるため、価格を上げてまで添付する必要性はありません。
  • その他
    特記するべき点はありません。

プレイ後の感想

項目別評価通り、戦略を計画し、状況によって戦略を変更し、それでもなお悩む所があるゲームです。 考えている戦略や現在の状況から悩むことなく、これしか選択肢がないという場面も当然あります。

しかし、ゲーム中に数回はどちらにするかと悩む場面があり、終わった時に十分な充実感がありました。特に競りでコインが投じられるにつれて、このまま株券の購入を目指すか、コインを回収するかと非常に悩まされます。

株券の売却による大量得点の阻止は空売りしかないため、売却しようとしているプレイヤーをおさえることは不利益が大きく、難しいです。それよりも1色の株券を集めようとしているプレイヤーがいれば、集めようとしている色の株券を代わりに競り落としたり、早めにその色の株券を売り払ったりすることで阻止(つまり極力1人のプレイヤーに同じ色の株券を持たせないようにする)した方がいいと思います。

競りに必要なコインは有限であり、コインを入手するためには競りを途中で降りて投じられているコインを回収するか、銀行から勝利点と引き換えに借金するしかないという点も非常に考えさせられます。いかに他プレイヤーからコインを出させて回収するか?という点もよく考えるべき所だと思います。コインを回収するために、必要としない株券の競りでは回収に努めるというのも必要でしょう。また他のプレイヤーに競りを続けさせてコインを投じさせるために、わざと競りを続けるという戦略もあり得るでしょう。

ゲームの核は競りであるため、競りが白熱しないとゲームの盛り上がりという面では物足りないかもしれません。プレイ人数が多い場合はそれぞれの思惑が絡み、競りがより白熱すると思いますが、相対的にプレイ時間も延びてしまうため一長一短だと思います。

プレイアビリティやコンポーネントに関しては、不満に感じることはほぼありませんでした。

総合評価

70/100点

唯一価格の高さが気になるかもしれませんが、繰り返しプレイすることを考えれば耐久性が高い今のコンポーネントはむしろ必要であると思います。そう考えれば、決して高すぎる価格ではないと感じるでしょう。

評価点数は高くありませんが、このゲームの最大の売りは悩ましく白熱する競りにあると思います。競りを楽しみたいのであれば、このゲームをすすめます。


プレイ記録

プレイ日時 インスト プレイ人数 プレイ時間
2014/05/05 4人 60分
(一度途中でやり直したため)
2014/09/20 5人 40分